ボルタレンを飲んだら胃痛になるって本当？その他の副作用は？

2017/05/25

痛み止めを飲んだら胃が痛くなった、というのはよく聞く話ですよね。ボルタレンにも、そのような副作用はあるのでしょうか。また、胃痛以外にも副作用はあるのでしょうか。

ボルタレンの効果

ボルタレンは、NSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）に分類される医薬品の一つです。NSAIDsには、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用などの作用があります。同じくNSAIDsに属する薬は、ロキソニン、アスピリン、バファリン、セレコックス、ナイキサンなど。どれも耳にしたことがあるのではないかと思います。

そして、ボルタレンは数あるNSAIDsのなかでも最も鎮痛作用の強い鎮痛剤です。そのため、痛みが強いときや他の鎮痛剤では痛みがおさまらないときにしばしば用いられます。

ボルタレンの作用機序

何らかの原因で細胞に傷がつくと、ホスポリパーゼA2という酵素の作用によって細胞膜内にあるリン脂質からアラキドン酸が分離します。そして、アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ（COX）という酵素のはたらきによってプロスタグランジン（PG)へと変換されます。

プロスタグランジンは有名な痛み物質で、これが生成されることにより人は痛みを感じます。ボルタレンを含むNSAIDsは、これの生成を阻害することにより鎮痛作用を現します。NSAIDsがアプローチするのは、プロスタグランジン合成に欠かせないシクロオキシゲナーゼ。この酵素を阻害することで、プロスタグランジンの生成を抑えます。

なお、プロスタグランジンには体温を上げる作用もあります。そのため、全く同じメカニズムで解熱作用を現します。

ボルタレンの消化器症状

ボルタレンは効果の強い解熱鎮痛剤ですが、その分副作用が出やすい傾向があります。副作用の発生率は10.85%と他のNSAIDsと比べても高いので、ボルタレン服用中の体調の変化には十分注意しましょう。

副作用のなかでも注意が必要なのは、消化器症状です。主な症状は、胃痛、吐き気、食欲不振など。場合によっては胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸炎などになることもあります。ボルタレンによる胃腸障害の発生率は6.63%と高いため、ボルタレンと胃薬を併用する人もいます。

プロスタグランジンには、痛みを誘発する作用の他に胃粘膜を保護する作用もあります。そのため、プロスタグランジンの生成を抑制することで消化器症状が引き起こされるのです。ちなみに、座薬であるボルタレンサポも同じ作用機序で解熱鎮痛効果を現します。そのためボルタレンサポにも消化器症状の副作用がありますが、その頻度は経口薬よりもずっと低くなります。

ボルタレン服用中に胃の調子が悪くなったら、副作用が出ている可能性があることを覚えておきましょう。風邪の症状だと決めつけてボルタレンの服用を続けると、悪化する可能性があるので気をつけてくださいね。

ボルタレンのその他の副作用

ボルタレンを服用するときに最も注意すべき副作用は消化器症状ですが、その他にも副作用はあります。それぞれ発生頻度は高くありませんが、中には重篤なものも存在するので注意が必要です。

息をするとゼーゼーと音がする、息苦しいなどの症状が出たら、喘息発作を疑いましょう。また、尿量が少なくなる、だるい、体がむくむなどの症状がある場合は腎機能障害に陥っている可能性があります。

他にも、浮腫や発疹、血液障害、アナフィラキシー、血液疾患、皮膚疾患、間質性肺炎、心筋梗塞、肝障害、横紋筋融解症など、様々な副作用があります。どれも非常に稀な副作用のため、そこまで神経質になる必要はありません。しかし、これらの副作用を避けるためにも用法用量はしっかりと守るようにしましょう。

ボルタレンが向いている人

ボルタレンは強力な鎮痛作用を持っているので、強い痛みがある場合のみ服用するようにしましょう。副作用が強いため、長期間にわたって服用することは推奨されていません。重篤な副作用が生じないようにするためにも、ボルタレンの服用は最小限にとどめましょう。

なお、ボルタレンには錠剤以外にカプセル剤もあります。カプセル剤は徐放性製剤のため、錠剤よりも効き目が穏やかで効果の持続時間が長めです。痛みがそこまで強くない場合は、ボルタレンのカプセル剤、あるいは他の薬の方が向いているかもしれません。

また、インフルエンザに感染しているときはボルタレンの服用はできません。なぜなら、インフルエンザ脳症やライ症候群などのリスクが上がってしまうからです。そして、妊娠している人や妊娠している可能性のある人もボルタレンの服用は不可です。過去には、妊娠中にボルタレンを服用して羊水過少が起きた、胎児が死亡したとの報告もあります。これらに当てはまる可能性があるときには、ボルタレンは絶対に服用しないようにしましょう。