アタラックスの効果・用法および用量・副作用について
2017/11/16
アタラックス錠にはアタラックス10㎎とアタラックス25㎎の2種類があり、皮膚疾患や神経症などに対してしばしば用いられます。ここでは、アタラックスについてその効果を中心に解説しました。
アタラックスの効果
アタラックスの主成分はヒドロキシジン塩酸塩で、発売が開始されたのは1958年です。この薬はアレルギー疾患の治療に使用される傍ら、不安などの精神的な症状を改善する目的でも処方されます。複数の作用をもち、幅広く使用できる医薬品だといえるでしょう。
抗ヒスタミン作用
アレルギーは、アレルギーの原因となるアレルゲンを体内に取り込むことから始まります。花粉症であれば、花粉がアレルゲンです。吸収したアレルゲンは体内で脂肪細胞に作用し、これによって脂肪細胞はヒスタミンを放出します。そして、発生したヒスタミンが受容体に結合することによってアレルギー反応が起こります。
アタラックスには抗ヒスタミン作用があり、ヒスタミンが受容体にくっつくことを阻止します。これによって、様々なアレルギー症状を抑えることができます。抗アレルギー薬はヒスタミンの放出を防ぐため予防的に用いられるのに対し、アタラックスなどの抗ヒスタミン薬はすでにアレルギー症状が出ている場合に使用することができます。
鎮静作用・催眠作用
ヒスタミンがかかわっているのは、アレルギーだけではありません。脳の覚醒にも大きく関係しており、ヒスタミンをブロックすると脳の覚醒が妨害されて頭がぼーっとするなどの症状が出ます。そして、この作用は精神的な症状への対処に応用できます。
不安が強く出ている人がアタラックスを服用することによって、心をリラックスさせることができます。また、不眠の症状を改善する効果も期待できます。
ただし、現在は新しい抗不安薬が多く開発されているためアタラックスが処方されることは少なくなっています。また、アタラックスで一時的に不眠を解消することができても徐々に効き目が弱くなってしまうため、不眠で悩む患者に対して最初に用いられることもあまりないようです。
制吐作用・鎮痛作用
アタラックスには、吐き気を抑える制吐作用や痛みを抑える鎮痛作用もあります。しかし、これらの作用に関してははっきりとしたメカニズムは分かっていないようです。
アタラックスの用法・用量
アタラックスの用法・用量は、どのような疾患に用いるのかによって異なります。じんましんなどの皮膚疾患に対して使用する場合は、30㎎~60㎎を1日2~3回に分けて服用します。また、抑うつなどに精神疾患に対して用いるのであれば75㎎~150㎎を1日3~4回に分けて服用します。
飲み忘れずにきちんと服用することが一番ですが、万が一飲み忘れた場合は次の回から飲むようにしましょう。1日量を合わせるために1回で2回分服用するなどは絶対にしてはいけません。自己判断で飲み方を変えることは非常に危険なので、何かあれば逐一医師か薬剤師に相談するようにしましょう。
アタラックスの副作用
アタラックスは古い薬のため、改良された新しい薬に比べて副作用は多めです。主な副作用としては、眠気、倦怠感、口渇、かゆみ、発疹、じんましんなどが報告されています。アタラックスは脳に移行しやすいため眠気の副作用が特に多く、発生頻度は2.5%となっています。
また、稀に重篤な副作用も発生します。ショック、アナフィラキシー、QT延長、心室頻脈、肝機能障害、黄疸、急性汎発性発疹性膿疱症などを引き起こす可能性があるので、アタラックスを飲み始めてから体調の変化を感じたらすぐに医師に相談するようにしましょう。
高齢者や妊婦は服用できる?
副作用の多いアタラックスですが、高齢者でも服用することは可能です。ただし、栄養分の吸収や排泄などの生理機能が低下している場合には他の医薬品と同様にリスクが高くなるので注意が必要です。
また、妊娠している場合にはアタラックスは服用できません。妊娠初期にアタラックスを服用し、奇形児が生まれたという報告があります。また、産まれた赤ちゃんに傾眠や離脱症状、中枢神経抑制、新生児低酸素症などがみられた例もあるようです。
妊娠している人はもちろんのこと、妊娠している可能性がある人も必ず医師に告げるようにしましょう。また、授乳中のアタラックス服用も危険があるといわれています。授乳をしている人がアタラックスを服用する場合は、一時的に授乳を中止するようにしましょう。
大切なのは正しく使用すること
アタラックス以外の医薬品にもいえることですが、大切なのは服用することによってベネフィットを得ることです。どんな医薬品にも多かれ少なかれ副作用の危険性がありますが、副作用が強く出てデメリットがメリットを上回ってしまっては意味がありません。アタラックスを服用するときもそのことを意識し、説明書や医師、薬剤師の指示を守って正しく服用するようにしましょう。
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